この度、友情結婚いたしました。
らしくない春樹に緊張が増す。

おまけにさっき、琢磨に昨夜のことをバラされてしまった手前、気恥ずかしい。
それに頭の中は琢磨のことでいっぱいだ。


「ごめん、明日でもいいかな?今日はずっと出掛けていたから、疲れちゃって……」

やんわり断り、掴まれた腕を解いてもらおうと動かすも、さらに強い力で腕を掴まれてしまった。

そして一歩近づき私との距離を縮め、表情を変えぬまま「無理」と力強い声で言った。


「無理って……」

「あんな話聞かされて、明日まで待てるか。……悪いけど聞いたから、琢磨の話。つーかドア越しにでも充分聞こえてたし」


嘘……やだ。
さっきの話全部、春樹に聞かれちゃっていたの!?

動揺する私に春樹は話を続けた。


「意外だったよ。……あいつがあんなこと思っていたなんて。全然知らなかった。……昔とはいえ、あそこまで悩んでいたとか」

「春樹……」


そう、だよね。
私だって気づけなくて、今こんなにも後悔しているんだもの。
それは春樹だって同じはず。
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