この度、友情結婚いたしました。
おかげで昨日は春樹と一度も顔を会わせずに済んだけど……一緒に暮らしている以上、このままずっと顔を合わせないわけにはいかない。

なんていったって私と春樹は結婚しているのだから。


それに昨日外出中気づき、明日からは逃げないで立ち向かおう!
そう意気込んで帰宅し、ベッドに潜り込んだわけだけど、やっぱりいざいつもの朝が来てしまうと、憂鬱になってしまう。


一昨日の春樹を思い出せば……うん、完璧ご立腹に違いない。
春樹が最低なのは変わらないけど、私もけっこう最低なことをしてしまったと思う。


春樹は避けていいって言っていたのに、避けずに春樹のキスを受け入れてしまったのだから。
嫌じゃなかったのに途中で逃げた。……うん、最低女だ。

せっかく浮上した気持ちがまた一気に下降していく。
昨日からこの繰り返しだった。


「準備しないと」


時計を見れば食事の準備をして洗濯干して、出掛ける用意をするとなると、そろそろ準備に取り掛からなくては間に合わなくなってしまう時間。


まずは珈琲でも飲んで落ち着こう。
どーせ春樹の起きる時間は、まだまだ先だし。


そう思いドアの方へと向かうものの、近づくにつれて聞こえてくる物音に足が止まってしまう。

ドアに耳を当てて聞き耳を立てると、なにやらカチャカチャと音が聞こえてくる。
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