この度、友情結婚いたしました。
「友情結婚、バレてしまいました」
最寄駅から電車に乗ってやってきたのは、都内にある水族館。
休日ということもあって、家族連れを中心に賑わっていた。


入場料を買うにも長蛇の列。
けれどそこは夫の春樹さんが率先して私を近くのベンチで待たせて、入場チケットを買ってきてくれた。


「はい奥さん、どうぞ」

「……どうもありがとう」


ふざけて「奥さん」だなんて、照れるじゃないか。
言われ慣れていない名称に、春樹の顔がまともに見れなくなる。


「じゃあサクサク行くぞ。俺、こういうところは順序よく全部回りたい派だから」

「なんじゃそりゃ」


普段は全くきっちりしていないくせに。

けれどすぐに手を繋がれてしまうと、またなにも言えなくなってしまう。

「行くぞ」

「うっ、うん」

いざ館内へ向かうも、やっぱり春樹と手を繋いで歩くっていうのに慣れない。

そもそも私、デートするのなんて何年振り?
人間慣れないことをすると、容量オーバーになってしまう。
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