この度、友情結婚いたしました。
昔は身長も体重もほぼ一緒だったのにな。いつの間にこんなに差ができちゃったんだろ。
ずっと見上げていたら、首が疲れちゃうし。


視線を前に戻すもボーっとしてしまっていると、急に春樹が声を上げた。

「まどか、今日は思いっきり楽しむからな」

「――え?」


もう一度顔を上げれば、春樹と目が合う。

途端に目尻に沢山皺を作って笑った。


「そんで俺のこといっぱい好きにさせるから。……覚悟しておけよ」

キザな台詞と共に、繋いだ手に落とされたキス――。


「なっ……!なにしてんのよっ!こんな道端で!!」


思いっきり手を振り払おうとしたけれど、がっちり掴まれてしまっていた手は、そう簡単に離してくれなかった。


「バーカ、照れてんなよこれくらいで。もっとすっげぇのしただろうが」

「……っうっさい!」


思いっきり顔を逸らせば、春樹は声を押し殺すようにクククッと笑い出した。

なんて奴だ、全く!


「はいはい、照れて可愛いですから、さっさと機嫌直して下さいね~まどかさん」


おちゃらけた物言いに完全スルー。
するとまた春樹の笑い声が聞こえてくる。


ハッキリ言って全く乗り気ではありませんが、初めて夫とデートというものをして参ります。

果たしてどんな一日になるのやら……。

そっぽ向いたままの妻と、可笑しそうに笑う夫の初デートがこうして幕を開けました。
< 239 / 379 >

この作品をシェア

pagetop