この度、友情結婚いたしました。
「んーいい匂い。もしかしてなにか作ってくれたの?」

「あっうん。勝手に使っちゃってごめんね」


慌てて後を追い、キッチンで珈琲の準備に取り掛かる。
するとすかさずあさみもキッチンへやってきて、私が用意した朝ご飯を見ては目を輝かせた。


「うわーこんな立派な朝ご飯食べるのいつぶりだろ」

「え、あさみってばいつも朝なに食べていたの?」


ギョッとし聞くと、ウインナーをつまみ食いしながら「コンビニで十秒チャージ」なんて答えてきた。


十秒チャージ……ってあぁ、あれか。よくCMでやっている栄養ドリンク系のゼリーだ。
頭の中に例のCMが流れる。


「いやはや、もしや毎朝バカ春樹にも作ってあげているわけ?」

「そりゃまぁ……一応夕飯も用意しているよ」


ふたりでテーブルに運びながら答えると、あさみは大きく舌打ちした。

「ちっ。春樹のくせに生意気な。あいつはくそマズイ珈琲一杯でいいんだよ」

相変わらずのあさみに朝から苦笑いしてしまう。


一昨日の夜は遅くまでふたりで語り明かし、昨日昼までふたりぐっすり眠っていた。

そのままたまには遊びに行こうとなり、久し振りにふたりで買い物に行ったり、夕食はオシャレなダイニングバーで済ませたりと、充実した休日を過ごした。

そして今日は月曜日。お互い仕事だ。


「あっ、今日の帰りちょっと家に荷物取りに行ってくるから、少し遅くなるけど夕食はどうする?」
< 280 / 379 >

この作品をシェア

pagetop