この度、友情結婚いたしました。
「初めて気づく気持ちもあるのです。」
世間でいう華の金曜日。

そんな日に私は定時で仕事を上がり、転がり込んでいる親友宅でせっせと夕食の準備を進めていた。


「よし、今日もなかなか美味しくできたじゃない」


味付けはばっちり。あとは美味しそうに盛るだけだ。
早速食器棚からお皿を取ろうとした時、玄関のドアが開く音が聞こえてきた。


「あっ、おかえりあさみ。今日も早かったね」


リビングに入ってきたあさみに声をかけるも、なぜか浮かない表情。


「あのさまどか……いい加減スマホの電源を入れてくれないかな?」


深い溜息と共に漏れた声に、ギクリと身体が反応してしまう。
盛り付ける手も止まってしまい、そろりとあさみを見れば心底嫌そうに顔を顰めていた。


「バカ春樹からの連絡を絶つためなのは分かるけど、こっちもそうなると不便なのよ。連絡もできずこうやってまどかがせっせと家で、料理を作ってくれているかと思ったら、おちおちのんびり残業もできないじゃない」


「……すみません」


これはもう謝るしかできず、言葉が続かずにいると、あさみは見兼ねたように大きな溜息を漏らした。


「まっ、もう慣れたけどね。それよりお腹ペコペコ。ご飯食べたい」

「あ、もうできてるからすぐに用意するね」

「サンキュ、着替えてきちゃうね」


そう言うとあさみは寝室へと向かっていった。
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