この度、友情結婚いたしました。
最後に意味の分からない暴言を吐くと、無理やり背中を押され締め出されてしまった。

ばたんと異様に大きな音が響くと同時に、また怒りが込み上げてくる。


「なんなのよ、あいつは……っ」


しかもなに?今度来るときは菓子折りを持ってこいだぁ?

ここはあんたの家でもあるように、私の家でもあるっつーの!それになんで私が菓子折りなんか持ってこなくちゃいけないのよ!


「なによ……バカ春樹」


ドアの向こうにいる春樹に向かってボソリと暴言を吐き、トボトボとアパートを後にしていく。

結局最後には三歳児並みの喧嘩しちゃったし。


駅に向かって歩いていくと、さっきまでの怒りは徐々に失っていき虚しさに襲われていく。


そもそも悪いのは春樹だ。コロコロ自分の気持ちを変えやがって。振り回されたこっちの身にもなってみなさいよ。

バカみたいじゃない。まんまと乗せられて、好きになりかけたとか。……それなのに本当は私、愛されていなかったなんて。

少しでもあんたの気持ちを信じようとした私が、バカすぎて笑えてくる。


「あーあ、もうさっさと春樹なんて見切りつけて、本気で琢磨に奪われちゃおうかな」


好きになったのも、付き合ったのも、キスしたのも全部初めての人で、嫌いで別れたんじゃないんだし。……きっとすぐにまた好きになれるはず。


そう思うのに、なぜか心の奥が痛んでしまうのはなぜだろうか……。


迷走していく自分の気持ちに戸惑いながら、ゆっくりと駅へ向かっていった。
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