この度、友情結婚いたしました。
「もう一度お互い愛を誓おうぜ。……今度は正真正銘の愛ってやつをさ。してくれないと入院中にせっせと準備を進めていた俺の努力が報われないんですけど?」

「春樹……」


あっ、もしかしてこの前ベッドに散らばっていた雑誌の山は、この日のためのものだったの?


だめだ、胸が苦しい。
指輪だけでもうれしかったのに、こんなサプライズズルイ。


「ほら、神様の前にいくぞ」

「……うん」


泣きたいほど嬉しいけど、ここで泣いちゃうのは癪だ。

必死に堪え、春樹に導かれるがまま神様の前へと進んでいく。


足を止め、お互い向き合うと春樹は頬を緩ませた。

夕陽に照らされる春樹の顔は、今までで一番素敵でギュッと胸を締め付けられてしまう。


そんな中、静かに春樹は語り出した。


「内村まどかさん、あなたは一生涯をかけて、かっこよくて素敵で優しい夫、大沢春樹を愛することを誓いますか?」


せっかくロマンチックな雰囲気だったというのに、アホ春樹はぶち壊してきた。


小さく息を吐き、すぐに答える。


「はい、アホでバカで浮気性で頭が痛くなってしまう夫、大沢春樹を仕方なく一生涯愛することを誓います」

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