この度、友情結婚いたしました。
時計の秒針の音だけが響く中、次第にお互いの息遣いがプラスされていく。

甘い口づけを交わしながら、春樹の手が忙しなく動き出す。


ちょっと……これはもしや、いよいよですか?


春樹にされるがままキスに溺れていると、服を捲り直に触れてきた瞬間――。


「ひゃあっ!」

思いの外春樹の手が冷たくて、恥ずかしい声を上げてしまった。


途端に春樹は目を見開き、私の上から飛び退いた。


さっきまで身体に圧し掛かっていた重みを失うと同時に、一気に現実に引き戻される。

そしてガッカリさせられてしまった。……あぁ、やっぱりまたか、と。


そろりと起き上がると、私の上から飛び退いた状態で春樹は固まり放心状態といった様子。


まったくこの男は……!
そっちから迫ってきたくせに、なんなの?その顔は!


乱れた服や髪を整えていると、春樹は勢いよく立ち上がり「悪い、まどか!」と叫びながら自分の部屋に閉じこもってしまった。


ひとり残された私……え、なにこの状況。
これじゃまるで〝私が無理やり襲って春樹に拒否られた図〟じゃない?

いや、別にいいけど!こういうこと、初めてじゃないし。

再度本を開き勉強を再開しようと思ったけれど、集中など出来そうにない。

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