この度、友情結婚いたしました。
私はというと、もちろん仕事の予定などあるわけがなく、こうしてせっせと荷物の片付けをしていた。

そんな時、唯一事情を知る親友のあさみが訪ねてきたのだ。

「昔からあんた達ふたりを見てきて、お似合いなんだから付き合っちゃえばいいのに!とか、最近ではたまに結婚しちゃえばいいのに!なんて思っていたわよ?だからふたりが結婚するって聞いた時は喜んだけど、なによその事情は」

洋服をしまうのを手伝いながらも、ブツブツ言い続けるあさみに深い溜息が漏れてしまう。

「だからそれは散々説明したでしょ?……私だってしたくてしたわけじゃないわよ」

そうだ、私だってこの結婚は望んでいたわけじゃなかった。

けれど仕方なかったのだ。こうする道しか、私には残されていなかったのだから。


* * *

春樹から友情結婚を迫られた次の日。

いまだ両親には派遣切りに遭ってしまったことを告げられず、バレるのを恐れて、いつも通りの出勤時間に家を出た。
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