この度、友情結婚いたしました。
いつまでもこんな嘘が通せるとは思っていなかったけれど、到底両親を前にして言える勇気はない。

派遣社員として働くことをあまりよく思っていないし、どうやら早く結婚して欲しいようだし。

うまく次の仕事が見つかるまでやり過ごせばいい。安易に考えていた私だけれど……。
世の中、そう簡単にうまくいくはずなどなかった。

この日は職安に行き、求人を探したりショッピングモールで時間を潰していると、お母さんからメールが届いた。

なんでもスーパーで春樹のお母さんと偶然会い、たまには食事を一緒にとなったらしい。

昔はよくあったことだったし、なにより今日も春樹に会いに行こうと思っていたから、好都合だと思った。


そしてなにも考えず、いつもの帰宅時間に合わせて家に帰ると、なぜかシンと静まり返っていた。

いつも両家族が揃うと、絶対騒がしいはずなのに。

不思議に思いながらもリビングへと向かうと、そこには春樹一家の姿は見えず、なにやら重々しい雰囲気を醸し出す両親だけしかいなかった。

「あれ、おばさん達は?」
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