この度、友情結婚いたしました。
「まさかシカト?」

そう思うと一気に怒りが込み上げてきた。

「バカらしい!先に寝よう!」

今まで寝ずに待っていた時間が勿体なかった。
歯磨きを済ませ、電気を消しさっさとベッドの中に潜り込んだ。

瞼を閉じれば、物音しないシンと静まり返っている空間に違和感を覚える。

そういえば私、この歳までずっと実家暮らしでひとりで暮らしたこと、なかったな。

布団から少しだけ顔を出し、天井のクロスを見つめる。

毎日家族が一緒にいたし、両親が旅行でいない時は春樹の家にお世話になったりしていたし。昨日だって春樹がいたし。

こうやって家にひとりっきりって初めてかもしれない。

「やだ、この歳で怖いの?」

あまりに静かな室内に響く自分の声。

怖い、なんて思っている場合じゃないよね。
これからはこれが当たり前の日常なんだから。

きっと春樹は今日みたいに帰りが遅い日が、頻繁にあるはず。
そうしたら私は嫌でもひとりで過ごさなくちゃいけないんだ。

早く寝てしまおう。
そう思い、固く瞼を閉じた。
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