わたしは年下の幼馴染に振り回されています
 拓馬と他愛ない会話をして家に着く。

 わたしは拓馬を見た。

「寄っていく?」

「毎日寄るのも悪いし、今日は帰るよ」

「一人で暮らしているんだよね。ごはんは?」

「今から帰って作る予定」

「大変だね」

「慣れるまではそうだろうけど、将来のためだと思って頑張るよ」

「働き出してからということ?」

「美月と結婚をしたあとのこと。なんでも好きなものを作ってあげるから」

 わたしが頬を膨らませると拓馬は笑っていた。

 そして、じゃ、と言い残すと帰っていった。

 今から自分のことをしてもいいわたしとは違い、彼は今から勉強や遊びとは違う家事をしなければいけない。

 わたしは遠ざかっていく拓馬の後姿を見ながら、と対比し、昨日やけに大きく感じた彼の手が錯覚ではなかったのかもしれないと感じていた。
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