Repair of the world~フルート吹きの魔法使い2~

自国へと

赤黒く荒廃した野を超え、山を越え。
ようやくウェインの生まれ育った国、アルデルトへと着いた。

ここに来るまでウェインとジェイクの間に会話は一切なく、何とも言えない嫌な空気の中、ただひたすらに歩き続けた。
足場の悪い場所を歩き続けて疲れているってのに、気まで使わなきゃいけなかったもんだから、もう心身ともにヘトヘトである。
本当にいい加減にして欲しい。
楽しい話をしながらなんて、こんな状況では出来ないのは分かっているけど、せめて雰囲気だけは良くして頂きたかった。
まったく息苦しいったらありゃしない。

アルデルトの城下町もまた、ヴォルデルトにやられてしまったのかほとんどの建物が焼け崩れて、人の姿もない。城も形こそ残っているが大きな穴が開いていたり、所々崩れている。
どこに行っても同じ景色。
本当に気分が滅入ってしまう。


「こっちだ。地下シェルターへの通路がある」

ウェインは手招きをしながら、城の脇を進んでいく。
城の裏まで行くとある所で立ち止まり、何もない地面の部分に向けてウェインは何やら呪文を唱えた。

するとその部分がぐにゃりと歪んで、やがて下へと続く階段が現れる。
ウェインの後に続いてその階段を下り、そして重厚な扉が目の前に現れた。

そこでもウェインは呪文を唱える。
すると、ギィ、と重そうな音を立てて扉が開いた。


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