Repair of the world~フルート吹きの魔法使い2~
私はウェインを再度見た。
ウェインは私を真っ直ぐに見つめ、そして頭を左右に振った。

「帰れ。・・・いいんだ、ここで会った事は全て忘れた方がいい。何もかも忘れて、お前は元の世界へ帰るべきだ。俺達の力ではどうやってもお前を元の世界へ返す事は出来ないから。ルリ様の力で、本来いるべき場所へ帰れ」

「・・・・でも!!でも、私・・・!」

私は涙を零しながらウェインの身体を叩く。

忘れたくない。ウェインの事を忘れたくない!
好きだって気付いたのに。

まだ、この気持ちをあなたに伝えていないのに・・・!!


「お前が忘れる前に、ひとつ俺から言いたい事がある。・・・言ってもいいか?」

そう言うと、私の頬に手を寄せウェインの額を私の額へ付けた。
そして、静かに話す。

「リオン、お前の事が好きだ。いつからかは分からない。だけど、いつからかお前を好きになっていた。俺はお前を幸せにしてやる事は出来ないけれど、あっちの世界でお前が幸せに暮らせること、笑顔でいられること、それをずっと祈っている。・・・愛しているよ、リオン」

・・・それは私が言いたかった言葉だった。
そして、ウェインの口から聞きたかった言葉。

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