⁂初恋プリズナー⁂

「フィ、フィーリングって、そんな難しい言葉何処で覚えたの?いつもの和歌(わか)ちゃん?」


難しい事の解る子だと褒められた気分で、何度もコクコク頷く。

和歌ちゃんとは、一番仲の良いお友達。

大人びてて物知りで、頼れるお姉さんタイプの女の子で、落ち込む私を「こどものいうことなんて、まにうけちゃダメよ」といつも励ましてくれる。

その話をすると、颯ちゃんは大声で笑った。


「凄いな、6歳でそのセリフ」

「わかちゃんは、りかおねえちゃんから、いろいろおべんきょうしてるから、ものしりなんだよー」

「………成程」


梨歌(りか)お姉さんってのは、和歌ちゃんのお姉さんで颯ちゃんと同級生。

お人形さんのように綺麗で、物知り。

いつも違う男の人と一緒にいて、和歌ちゃんの言うところの、エキゾチックなお姉さんだ。

(わかちゃんが、わたしのおねえちゃんはえきぞちっくなのよ、ていってたからえきぞちっくえきぞちっくなのだ)

颯ちゃんは何故か、いつも梨歌お姉さんの名前を出す度に「あれを見習ってはいけません」と念を押してくる。

どうやら、梨歌お姉さんをあまり良く思ってないっぽいんだよね。

なんでだろう?


「リリー、あのね。その男の子は、リリーと仲良くなりたいだけなんだよ?」

「じゃあ、どうしていじわるするの?」

「小さい時の男って、そういう手段でしか気の引き方を知らないんだ」

「え~、そんなのおかしぃー!いじわるするこきらーい!」

「そうだね。でも、まだ感情をうまくコントロール出来ないからね」

「かんじょうのこんとろーるぅ?」


『子供』の単語に、今日の颯ちゃんへの報告事項をもう1つ思い出した。


「あっ!それ、わかちゃんもいってたー。おとことおんなでは、おとこのほうがこどもだから、つきあうならとしうえのほうが……」

「リリーっ。それは、もう少し、大人になってから、話そうね?今は、まだ、早い」


語尾を奪うと、一語一語ゆっくり言い聞かせるように颯ちゃんは言う。

それが子供扱いされてるようで「わたし、もうおねえさんだもーん」と主張したけど、窘めるように髪を撫でられる。


「このまま俺のお姫様は、大きくなったらどうなるのか心配だよ……」
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