曖昧なふたり
side 麻衣子
昨夜遅くから降り始めた雨はいつの間にか止んでいて、カーテンの隙間から漏れる光で夜が明けたことを知る。

ぴちゃぴちゃと跳ねるような水音は木の葉を伝い落ちる雨水か、窓の外を歩く誰かが水溜まりを踏んだ音か、あるいは。

後ろからわたしのお腹の辺りに腕を回して耳を食んでいた一樹の手がまた、明確な意思をもって動き始める。

「ちょっともう、ホントに無理だって!」

制止の声はかすれ、振り向いてあわてて止めようとするも、重ダルい身体は思うように動いてくれない。

「んー、大丈夫、大丈夫」

なにがだいじょぶなのかな‼

何でもないことのように言いながら、それでも手をとめない一樹は未だ潤ったままの中心に指を這わす。

「ん、…あ、やっ…」

散々弄られつづけて疲れきっているはずの身体は、その刺激を待っていたかのように喜び震える。後ろから硬い一樹の高まりを擦り付けられて、更なる刺激を求めるようになお蜜を溢れさせる。

そうしながらガサガサと枕元を漁っていはた一樹が「あ、やべ」と呟いたので、どうしたのかと後ろを振り返ると箱を逆さまにして困った顔で、

「ゴム、なくなっちゃった」

と言った。

そんなまさか。だってあれ、前回開けたばっかのやつじゃん。いったいどれだけやったんだ。

昨日日付が変わった頃に帰ってきてからそのままベッドに連れ込まれて、ずっと。もう空が明るくなったから。わー信じらんない、途中記憶が曖昧だ!もう回数なんて覚えてない。

もう十分でしょ、仕方ないから今日はもうやめようといいかけたところで、後ろから信じられない一言がかけられた。
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