冷たい舌
青龍神社の母屋のダイニングは、リビングと続きになっている。
リビングスペースには大画面のテレビと、それを取り囲むようにL字型のソファがある。その後ろには八人掛けのダイニングテーブル。
この家の何もかもが大家族用なのは、子どもの頃から常に和尚と忠尚が入り浸っているせいだった。
透子の父大河は普通の職にもついているが帰りが早いので、夕食もいつも早い。
透子が帰ってから今まで顔を合わせないようにしていたせいで、潤子の愚痴が、一気に噴き出していた。
「まーったく何考えてんのよ、あんたは。
義隆さんだって、お見合いの相手捜すの大変だったのよ」
小柄で少しふっくらとした潤子は、透子とはあまり似ていない。
「なによ。
お母さんたちが頼むから悪いんじゃない」
「なに言ってんのっ。
もうお祖母(ばあ)ちゃんは居ないんだからね。
あんたが龍神様、龍神様言ってても、誰も聞いちゃくれないのよ。
だいたい、託宣ができてたころだって、祭りの日に雨が降るだの、どこそこの誰が死ぬだの、役に立つことなんか言ってなかったじゃない」
「……役に立たないってね」