君を想う


あの時は余計な事だとは思ったけど、傘を差し出さずにはいられなかった。
でも、私がしたことはやっぱり余計な事だったのだろう。


そして今、また同じことが目の前で起こるとは思わなかった。


通り過ぎる人達は気になって見ていくものの、朝の忙しい時間に立ち止まるほどの余裕はないのか皆、通り過ぎていく。


私も、時間が無いことに気付き通り過ぎようとしたが……。



不意に顔を上げたその人と視線が合ってしまった。


今はあの時の自分とは違う。
もう余計な事はしない。


私は何もなかったかのようにその場を離れた。



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