SEXY-POLICE79
第三章:ゲーム
誰かがよんでいる声がした。誰かが叫ぶ声がした。
ぼんやりと見える暗い闇のなかを光が射し始める。須田はゆっくりと瞼を開けた。見ない天井だった。ここはどこなのだろうか頭がまだうまく働かない。須田はゆっくり視線をおよがせて窓を見る。まぶしいぐらいの太陽の光がそこにあった。生きているのか。須田は腕に巻かれた包帯に目をやる。あれだけ銃弾を受けたのに神経は潰れていないようだ、ちゃんと痛みという感覚が頭に伝わり腕に流れ込んでくる。自分は生きているのだ感じられる痛みだった。

「生きてる…。生きてるんだよな」

須田は己が胸に手をあてて自分の心臓の鼓動を確かめる。とくんとくん、と正常に機能している心臓の音。
生きている。生きているのだ自分は。
須田は思わず涙がでた。喜んでいいはずなのに胸がひどく痛む。

「――桐野警部補」

須田は思い出していた。ひったくり犯から聞いた彼の死を信じられなかった。彼がもうこの世にいないなんて自分には。自分には耐えられない。
護るって、言ったのに…。ずっと側にいるって、言ったのに…。
彼の顔が頭に浮かぶ。

「うそつき…」
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