SEXY-POLICE79
「ま、待てっ」
「す…だ……さん」

伸ばされる手に、その手を握り返そうとする手と手が空気を霞む。届かなかった…。男は消えて担がれた桐野警部補も姿を消した。

「桐野警部補…」

自分には何もできないのか。須田は思い悩んでいた。初めて会ったあの時の彼と、今ではずいぶんと変わってしまったから。一体彼に何があったのか問えるものなら聞きたい。でも桐野は言いにくそうな話しになると無理に聞いては来ないから、あの時もそうだったから、だから自分も彼が話したくないのなら無理には聞かない。いつか彼が自分の口から話してくれるのを待つしかない。



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