SEXY-POLICE79
ぞっと背筋をかける悪寒。肌を粟立てるこの感じを桐野はいつも体験してきた。でも今のこの感じは少し違う。霊ではない。かと言って生きモノでもない。じゃあこの感じはいったいなんだというのか。桐野はどきどきと胸を高鳴らせる。決して霊的なものではない、生きモノでもない無知なもの。それはいったい。
カシャンと何か鍵の開く音が耳に聞こえた。だとするとここはどこかの部屋なのか。桐野ははっきりしない意識の中まじまじと周りを探索する。何か目印になるもの、場所を特定出来る何かがあれば応援を呼ぶことができるからだ。
ひたり…。
しかし今はそんなことよりも自分の身が危険であることに桐野は気づく。ごくりと喉が鳴った。視界がぼやけてよく見えない分、何が自分に迫ってきているのかまったくわからない。幾分のろい動きでありじゅるりと音を立てる謎の生きもの。それは人間とも化物とも言い難い不気味な生物だった。いや、生き物なのかでさえ怪しい。

唾液を飛び散らせてうねうねとしなる生きものが桐野に近寄ってくる。謎の生きもの正体。それは口にはとても言いがたい姿だ。まあ簡単に説明をすると巨大なミミズと人間との紛い物に近い存在(もの)。とても人間に直視できる生きものではないことは確かだ。
怖い…。目が見えない分、やはりそこで恐怖が生まれる。さすがの桐野も来るなっと叫ぶ。その怯えきった表情(かお)が化物の感度を良くするとも知らずに。

化物の手が桐野の服に伸び長い爪で服を裂く。桐野はぎくっと息を飲んだ。ひんやりと冷たい感触が皮膚に伝わってくる。



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