ラブリー・トライアングル
圭の愛をめぐって私と争い合っているときをのぞけば、ユキは本当に可愛い。

そもそも私は、もともと猫が大好きなのだ。


あんまり可愛すぎて圭をメロメロにさせているのは気に食わないけどね!

だって私は圭が大好きなんだから。


………でも実は、ほとんど同じくらい、ユキのことも大好きなのだ。


ユキはごはんを食べ終わり、ゆったりと手をあげて顔を洗い始めた。

ときどき、大きなつぶらな瞳をこちらに向ける。


「かわいいなあ」

「かわいいねえ」


私と圭は顔を見合わせた。


「しあわせだなあ」

「しあわせだねえ」


ふふっと笑い合い、軽いキスを交わす。


幸せに目の眩みそうな私たちふたりの間には、ユキがちょこんと座っている。


「………この幸せがいつまでも続くといいな」


私は頬杖をついて、思わず呟いた。


「続くよ、いつまでも」


圭がにっこりと笑う。

私は目をあげて圭を見る。


圭の唇が動いた。


「………そろそろ結婚しよっか」


私は大きく目を見開いた。

それから、こっくりと頷き、『うん』と答えるために、唇を開いて―――。


「うみゃあお」


信じられないグッドタイミングで満足げに鳴いたユキに、私と圭は噴き出す。


私は涙目をぬぐいながら、ユキを叱りつけた。


「こら、ユキ! 今のプロポーズは私向けだから!」

「みゃお」

「ユキが先に返事しちゃだめでしょ!」

「みゃあお」


圭は堪えきれないようにお腹を抱えて笑っていた。






*おしまい*




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