あの頃の私は知らない。





どうしていいか分からないでいたら、隣からチーフが声を掛けた。チーフから抹茶ラテを受け取りながら、ありがとうございますと園田くんは言う。


「ちなみにうちの里奈ちゃんは、このあと17時から休憩です」

「え、……え?」


突然のその言葉に驚いてチーフを見れば、にやにやと笑っていた。いや、確かにこのあと休憩だけど、えっと。

目の前で園田くんも驚いたように目を見開いて、そのあとゆっくりと笑顔を浮かべた。


「じゃあ、少し待っています」

「え、ちょ、あの……」


戸惑う私を放って窓際のテーブルへと歩いていく。


呆気にとられたままその後ろ姿を眺めていれば、


「あの人、この前も来てたよね。彼氏?」


チーフが隣でそう聞いてきたものだから、必死に首を横に振った。





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