あの頃の私は知らない。





ぼーっと園田くんと男子が話すのを見ていると、控えめに肩を叩かれた。

振り向くとそこには、女子が三人。からかってきた男子に同調していた子たちだった。



「里奈ちゃん、どうなの?」

「え」


直球で聞かれて戸惑った。

よく考えてみると女子三人のうち一番右にいる子は、園田くんのことが好きだっていう噂のあった子だった。


「園田と付き合ってるの? 園田のこと好きなの?」


「ち、違うよ!」


思ったよりも大きな声が出た。

園田くんたちがこちらを向いたのも分かった。




「別に、そういうのじゃないよ」


小さく呟いた。


そっか、とほっとしたように笑う女子。

なんだ、と言って去っていく周りの人たち。




< 32 / 40 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop