まるでペットのような彼
「あ…あの…」

「ん?なに?」

「どこ行くの?」

「郁美は、どこがよい?」

「…悠となら、どこでも」

そう言った私に、悠は、微笑んでタクシーに乗り込んだ。




どこに向かうんだろう?
と思っていたら、車は、夜景のきれいな工場地帯に着いた。


車を降りてから、人気のない工場地帯を歩く。

ライトアップされて、観光スポットにもなっているけど、工場側って人気がないんだ。


「ここ、俺の好きな場所なんだよね。」

海に向かいながら、悠に後ろから抱きしめられる。

「なんかあったときとか、ここにくると、ちいさことだって思えるんだ。」

そう言いながら、私の向きを悠に向かせて、キスをしてきた。
そのまま額と額を合わせたままに見つめ合う。


「ここに誰かときたのはじめてだ。」

「…う…れしい」

うれしくて涙が溢れてくる。

「郁美って、けっこう泣き虫だよね。」
そう言いながら、涙を拭ってくれる。

「そんな郁美みてると、抱きたくなっちゃうんですけど…」

耳元でそんなことを囁かれる。

ビックリして涙が引っ込んでしまった。

「…フッ、泣き止んだね。」

「えっ?」
きっと私の顔は、赤くなっている。

「それとも、ここでしてもよい?」

そんな危険なことを言ってきた。

思い切り、首を横にブンブンと振る。

「そんな目一杯拒絶しなくても~
たまには、刺激になってよいかもよ。」
そんな色気いっぱいな甘い声で言われたって、無理です。
またも、首を横にブンブンと振る。

残念とか言いながら、悠は、諦めてくれたけど…
立ってられないくらいにされてしまってから、家路に着いた。






< 62 / 137 >

この作品をシェア

pagetop