ハピネス
比嘉君は再び口を動かすも、ボソボソ過ぎて聞こえない。


「比嘉君……?」


「オイ龍汰、お前さっきから何言ってるんだよ」


私より比嘉君の近くにいた千熊君もまた聞こえなかった様で、ハテナを更に増やしていた。


私天祢をハピネスに任命してから、比嘉君がこんなにボソボソ話すの初めて見たかも。


大人しい天祢と違って、比嘉君は明るくハキハキと喋る人だと思っていたのに。


「…ちょっと失礼しますよ~~~っと」


小さな好奇心をくすぐられ、壁に寄りかかる比嘉君の目の前に移動して、右耳を口元に近づけてみた。


その距離僅か数cm。

< 237 / 411 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop