ハピネス
リリアが病院で私の前から消えたあの日から、もう2週間。


7月に入った世界は夏真っ盛りで、私も登下校中はハンカチで汗を拭くのが日常になっていた。


「オレあまり数学得意じゃないんだけど、このまま普通に家帰ったらうっかり宿題するの忘れちゃいそうなんだわ」


「だからもうやっちゃおうって事…?でも私より千熊君の方が頭いいよ……?」


「士源はなんか忙しいみたいでさ。だから頼む早乙女!宿題教えて!!」


かなり真剣な様子で頼まれ、瞬きを繰り返す私。


以前の私ならドキドキで上手く教えられる自信が無く、断っていたかもしれない。
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