ハピネス
もう嫌なんだ。身近な人間が生死の境に立っているのに、何も出来ないのは。


『私は比嘉君に恩を売りたかったワケじゃないよ』


早乙女が本当に巴を助けてくれたのなら、恩返しをしたい。


アイツがまた元気になるのなら、オレにも頑張らせてくれよ………


深々と見えない、見えないからいるかも分からない天使に対して頭を下げる。


しかしただ風がオレの髪を揺らすだけで、特に変化は起こらない。


「オレはとことん無力なのか……」


ギリッと唇を噛みながら、顔を上げた。


すると視界に映る、白い物体。


「んっ?なんだ、アレ?」
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