無愛想で糖度高めなカレの愛
静かになった私を、今度は優しく抱きしめ直し、片手で髪を撫でる。それがとても心地良くて、乱れた心を落ち着かせてくれた。

誰かに見られてしまうかもしれないというのに、この腕を振りほどけない。

少しの背徳感を抱きつつ身を任せていると、彼は私の両腕を掴んでそっと身体を離した。


「……あの子が俺に気があるなんて気付かなくて。隙がありすぎました、すみません」


頭を垂れ、腕を掴んだまま、もう一度謝る夕浬くん。ものすごく反省してくれているように見える。

彼の顔を覗き込み、「何があったの?」と優しい声色で問い掛けると、ぽつりぽつりと話し始めた。


「この間、明穂さんが残業してた時に彼女と会って、十四日は何をしてるかって聞かれたんです。特に不思議に思わず、たぶん研究室にいると言ったんですけど……」


それを聞けば、すぐに安達さんが何をしたかったのかがわかる。


「もしかして、安達さんはチョコを渡しに来たの?」

「はい。告白付きで」


さらっと口にされた一言にピクリと反応し、思わず表情を険しくしてしまう。

そんな私を見て、夕浬くんは小さく苦笑を漏らしながら、「もちろん断りましたよ」と言った。

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