無愛想で糖度高めなカレの愛
○謎解きはベッドインの前に


研究室の中はとても暖かく、夕浬くんが淹れてくれたホットコーヒーでさらに身体がぽかぽかしてくる。

分析や試作のための様々な機器が並んだ、実験室のような部屋の隣が、彼らのデスクが並ぶ事務所となっている。ここの夕浬くんの隣の席に座らせてもらい、カップで両手を温めていた。


私もチョコレートを渡すためにマンションへ出向いたら、ミツコさんと会い今に至るのだと、ここへ来るまでの経緯を簡単に説明した。

自分の椅子に足を組んで座る夕浬くんは、それを聞いて少し驚いた様子。


「わざわざ届けに来てくれたのに、留守にしててすみませんでした」

「ううん。でも何の研究をしてたの? 休日にまで……」


さっきから気になっていたことを聞くと、彼はおもむろに腰を上げ、事務所の隅にある小さな冷蔵庫の方へ向かう。そこから何かを取り出すと、またこちらに戻ってきた。


「少し前からこれを作ってました。出来上がったばかりだけど、どうぞ」


小さなお皿に乗せられたものは、ココアがまぶされた四角いチョコレート。

それを差し出されて目を瞬く私に、彼はうっすら笑みを浮かべてこんなことを言う。


「逆バレンタインはいかがですか?」

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