無愛想で糖度高めなカレの愛
逆バレンタイン、ということは。


「うそ……また私のために?」


目を開いた私は、すぐにくすぐったいような嬉しさが広がって、笑みがこぼれた。


「ありがとう……! これは生チョコ?」

「えぇ。いたってシンプルですけど、口溶けの良さと高級感に重点を置いて、生クリームや洋酒にこだわってみました」


再び腰を下ろしながら、仕事中のように原材料の産地やら特性やらをつらつらと述べるから、なんだかおかしくて笑ってしまう。

そんな私に、彼は驚くべきことを口にする。


「特殊なチョコにしようか迷ったんですが……やっぱり今の明穂さんの舌には、シンプルなものが一番かなと」

「…………え?」


笑いが一瞬にして治まり、ぽかんとする私。そして、すぐに味覚のことを思い出す。

もしかして、夕浬くん……

身体をこちらに向けたままデスクに肘をついた彼は、すべてを見透かすような瞳で私を捕らえる。


「なんとなく気付いてましたよ。あなたが俺にも打ち明けられない悩みは、味覚のことなんじゃないかって」

「どうして……!?」

「ついこの間の試食会の時、全然美味しそうな顔をしていなかったので。明穂さんはわかりやすいから」


ふ、と笑みを浮かべた彼につられて、私も苦笑を漏らした。

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