無愛想で糖度高めなカレの愛
篠沢課長の後任でリーダーとなった私だけれど、今日の会議には彼女も様子見で参加している。

課長以外に私達の行き過ぎた話を止めてくれる人がいないから、気をつけなきゃね……。バツが悪そうに、ペロッと舌を出す美結ちゃんと苦笑し合った。

とにもかくにも、悩みが解決されて以来、私は以前と同じように、意気込んで仕事に打ち込むことができていた。


「どうだい? 河瀬くん。また難題出されちゃったけど」


クスクスと笑う室長は、いつものごとく隣の彼に話を振った。私もいまだに胸がときめくのを感じながら、そちらへと視線を移す。


「本当に、間宮さんは煽るのがお上手で」


長い指でスクエアフレームの眼鏡を押し上げながら、無表情でそんなことを言う夕浬くん。

なんだか気恥ずかしくなる私を、その綺麗な瞳が見上げる。


「でも、僕達ならきっとやれますよ」


不敵に口角を上げ、いつもの強気な発言をする彼はやっぱり頼もしくて、私にも笑顔が広がった。

そんな私達を眺める皆の顔は、一様にニヤニヤしている。

それもそのはず、私達が付き合っていることは、いつの間にか社内に広まってしまっていたから。

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