無愛想で糖度高めなカレの愛

それからしばらくふたりで寄り添ったまま、たわいもない話をしていた。

ベッドから抜け出した後は、ひとまず顔を洗う。彼は『どんな顔も可愛い』だなんてさらっと言ってくれたけれど、メイクを落とさないままのひどい顔を見られるより、すっぴんの方がまだマシな気がする。

そして、泊めてくれたお礼に私が朝食を作ることに。

目玉焼きとコンソメスープという、なんてことない料理だったけれど、その味と卵の半熟加減が夕浬くんのお気に召したようで、残さずあっという間に食べてくれた。


昨日も思ったことだけれど、彼と過ごす時間はとても心地良い。

肌が触れ合っている時も、そうでない時も、一緒にいるだけで心が溶け合うような、しっくりとした感覚を覚えるのだ。

もしかしたら、これこそが“相性が良い”ということなのかもしれない。


車を取りに送ってもらっている最中、そんなことを考えていた私は、会社の駐車場に着いたと同時に口を開いた。


「夕浬くん、今度は私から気持ちを伝えるからね」


突然の私の言葉に、車を停めた彼は、ハンドルを握ったままキョトンとして振り向く。


「私が自信を持って好きだって言えるようになったら、ちゃんとした恋人になりたい」


彼の澄んだ瞳を見つめて、はっきりと言った。

昨日の告白に対して、私も前向きに考えているのだということだけは伝えておきたかったから。

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