無愛想で糖度高めなカレの愛
「でも、なんかぼうっとしてましたよね。顔色も普通だし、体調が悪いわけではなさそうですが」

「あ、うん、体調はバッチリ! ちょっと考え事しちゃってただけ……。ごめんね」


なんとなく決まりが悪くなり、上目遣いで謝った。

すると、さりげなく辺りを見回して人がいないことを確認した彼は、突然身体を屈め、私の耳に顔を近付けてくる。


「……俺のこと、考えてたんですか?」


ドキッ。何故見抜いた!?

図星なのに、私の口は反射的に反対のことを言おうと動く。


「ちがっ──」

「そうだったら嬉しいんですけど」


間髪入れずに被せられた言葉に、私は口を開けたまま固まった。

そして、いとも簡単に素直にさせられる。


「……違わない」


熱くなる顔を俯かせ、ぽつりと呟くと。夕浬くんは、そこで初めて甘い微笑みを見せてくれた。


「今日も好きですよ、明穂さん」


甘美な囁きを私の耳に残すと、彼は白衣の裾を翻して颯爽と去っていく。

私がどれだけ胸をキュンとさせて、悶えたくなっているか──きっとそんなことは知らずに。


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