無愛想で糖度高めなカレの愛
頭を抱える私に気付かない美結ちゃんが、感心したように言う。


「わざわざここにまで挨拶に出向くなんて、ちゃんとした人ですね。しかもワイルドなイケメン……! 篠沢さんが鼻の下伸ばしちゃうのもわかるかも」

「そ、そうだね」


恵次の隣でご満悦そうな課長を目の端に映しつつ、ぎこちなく笑う私。

彼女に限らず、彼の手にかかれば、どんな女も落とすことができるに違いない。身をもって言えるわ……。

課長は晴れやかな表情で、恵次の紹介を付け加える。


「彼は斬新な戦略を立案して、商品を市場に定着させるのに一役買っていたそうなの。バレンタインの新商品でも、きっと即戦力になってくれるはずよ。皆で頑張りましょう」


皆が各々頷いたり返事をしたりする。

私もちらりと恵次の方を見やると、ぱちっと視線がかちあってしまい、心臓が飛び跳ねた。

一方、私を見付けても驚きもしない彼は、ふっと甘さを含んだ笑みを浮かべる。


……久々に再会しても、相変わらず余裕なのね。

まぁ、彼は私がここに勤めていることは知っていたからというのもあるだろうけど、なんだか憎たらしい。

けれど、ときめきみたいな感情は湧いてこない自分に、私はホッとしていた。

大丈夫。ただの仕事仲間として、普通に接することができるはず──。


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