愛よりも遠い距離



部屋に立ち込めるのは甘過ぎず、自然に心を安らげてくれる香り。



それは……外国土産だと少し自慢気に言っていた彼お気に入りのお香。



私はこの部屋の空気が好き。



ううん……今は違う。確かに好きだった。そうとしか言いようが無い。



「どうしても駄目なのか?」



その顔は、今まで見てきた彼のどの姿よりも寂しげで、苦しげで。



だけど、首を縦に振る事はもう出来ない。



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