ぼくらのストロベリーフィールズ

4-1









炊飯器からは、香りのよい蒸気が噴き出している。


尚紀くんは慣れた手つきでコロッケにパン粉をまぶし、沸騰した油の中にそっと入れた。



「ねーねー、にーちゃん、それ新しいカノジョ?」



私をじろじろと見つめてきたのは、1つ下の弟くんらしい。


日焼けした肌と、整られた短髪が特徴的な、尚紀くん似のイケメンだ。



「んー残念ながら違うんだよねー。でも可愛いでしょ?」


「ちょ、何言ってんの?」



尚紀くんの発言にテンパってしまう私。



「マジでずりー。俺の中学そんな可愛いオンナいねーし」



うむむ、この弟くん、ちょっとチャラい系ですかね?



初めて来た尚紀くんの家。


年季の入った一軒家には、保育園児から中学生までの男の子が詰め込まれていた。



コンロでは、油の泡にかたどられたコロッケが、揺れながら色を帯び始めていた。




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