ぼくらのストロベリーフィールズ



「今日は何時ごろ帰ってくる? ご飯は?」


部屋に戻り、バイトに行く準備をしている一吾くんにそう聞くと、


「遅くなるし。今から家送るわ」


と言い、すたすたと玄関に向かっていった。



今日は家で1人で寝るのか……。


急に寂しさが押し寄せてくる。



「のばら」


「ん?」


「なんかあったら尚紀のこと頼って。あいついいヤツだし」



急に尚紀くんの名前を出され、そわそわしてしまう私。


この前、バス停前でキスされたことを思い出してしまう。



でも――



「それ、どういうこと?」


「言ってることそのままだけど?」



それきり、彼は無言になった。



今日は一吾くんのおかげで楽しい時間を過ごすことができたのに。


ずきずきと胸を痛ませたまま、彼に送られて、自分の家に帰った。



それから一吾くんと連絡が取れなくなった。



月曜、学校に行っても彼はいなかったし、


マンションにも帰ってこなかった。






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