ぼくらのストロベリーフィールズ
1人が先陣で准クンの胸倉をがしっとつかんだ。
と同時に。
准クンは『すみませんでしたぁー!!』と叫ぶ。
突然の大声にその3年は一瞬だけひるんだ。
その隙に、准クンは両手でそいつの腕と肘をくるっと返して、つかまれた部分を上手く外した。
あ、弱いぞこいつら。
准クンにちょっとしたガードや攻撃のよけ方を教えておいて良かった。
『おいコラてめぇ、なめてんじゃねーよ』
目の前の男たちは肩や首を回したりと、完全に臨戦態勢に入っている。
『准クン、危ないし下がって』
力くんのお父さんからの喝が聞こえるような気がしたが、僕が何とかしないと准クンが危ない。
でも、3年相手に1年の僕が暴れてもいいのだろうか。
僕たちはゆーたさんやリーさんの子分的な扱いだし、彼らにも迷惑をかけるのでは?
一歩、踏み出そうか迷った瞬間、
『いいよ一吾ちゃん、やっちゃってー!』
『オレらが許可すっから! てか今から行くわ~』
という声が、上から飛んできた。
3階のトイレらしき小窓から、リーさんとゆーたさんが手を振っていた。
ちっ、と3年生たちはその方向を見て、舌打ちをする。