ぼくらのストロベリーフィールズ







ナズちゃんは、一吾くんまだ休みー? つまんなーい、と何度も口にしていた。


一吾くんは学校も無断で欠席しているようだった。



「のばらー、一吾どこいったのー?」


トイレの帰り、一吾くんの子分的な扱いになったヒュウガくんに呼び止められた。



「私に聞かれても……」


「だっておまえら一緒に住んでんでしょ?」


「ちょっと、しっ! それ内緒だから!」



がやがやしている昼休みの廊下は、たまっている人と流れる人が半々くらい。


私はばしっとヒュウガくんの肩を叩き、彼の口を制した。



「いでっ! お前は昔っから変わんねーな。あ、尚紀は何か知ってんの?」



――あ!



『なんかあったら尚紀のこと頼って』



そうだ。

ちょっと気まずい状態だけど、尚紀くんだったら何か知ってるかも!



彼のクラスに行こうとすると、ヒュウガくんは、


「あとさー、お前かわいい友達いんじゃん。そいつ彼氏とかいんの?」


と小声で聞いてきた。



「かわいい友達……? あ、もしかしてナズちゃんのこと?」


「そうそう。俺ちょっと仲良くなっちゃったんだよねー」



――はい?


そういえば、一吾くんの友達と仲良くなった、ってこの前ナズちゃんが言ってたっけ。


それってヒュウガくんだったんですか……。



「残念。ナズちゃんは一吾くん狙いだよ」と伝えると、


「え~~~まじ? 俺超タイプだったんだけど」と言って、ヒュウガくんはずるずるとしゃがみこんだ。



ナズちゃん、戦略的に男をトリコにしている。恐るべし……。



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