ぼくらのストロベリーフィールズ

5-2








「のばらちゃん!」

「ワンワン!」


「あ、おはようございますー。ポチもおはよ~!」



登校中、犬の散歩をしていた近所のおばちゃんに声をかけられた。



「今、お父さん出張中? お母さんも実家なんでしょ?

洗濯物ちゃんと取り込んだり、電気つけたりしておきなよ。空き巣に狙われやすくなるんだから!」


「え!? は、はい……!」



その言葉を聞き、私はビビッと心に恐怖が走った。



急いで、空き巣対策のため早めに帰ってきてほしいことを父にメールする。

ついでにバイトを始めたことも。



『大丈夫か? すまん今日は無理だけど、明日は土曜だし急いで帰るよ! バイトは怪しいとこじゃなければOKだよ!』


『了解ー気を付けて帰ってきてね! バイトは飲食系だよー』



良かった。

今日だけ1人の夜を乗り切れば、父が帰ってくる。



その後、ラインをチェックしたけど、一吾くん宛のメッセージにはまだ既読がついていない。



一吾くん、早く帰ってこないかな……。



1人で夜を過ごすのはやっぱり心細いし、


彼が今何をしているのか、ちゃんとご飯を食べているのか、そしてちゃんと生きているのか、心配でたまらない。



実家にいるなら安心だけど、それすらも明確ではない。



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