ぼくらのストロベリーフィールズ
5-2
☆
「のばらちゃん!」
「ワンワン!」
「あ、おはようございますー。ポチもおはよ~!」
登校中、犬の散歩をしていた近所のおばちゃんに声をかけられた。
「今、お父さん出張中? お母さんも実家なんでしょ?
洗濯物ちゃんと取り込んだり、電気つけたりしておきなよ。空き巣に狙われやすくなるんだから!」
「え!? は、はい……!」
その言葉を聞き、私はビビッと心に恐怖が走った。
急いで、空き巣対策のため早めに帰ってきてほしいことを父にメールする。
ついでにバイトを始めたことも。
『大丈夫か? すまん今日は無理だけど、明日は土曜だし急いで帰るよ! バイトは怪しいとこじゃなければOKだよ!』
『了解ー気を付けて帰ってきてね! バイトは飲食系だよー』
良かった。
今日だけ1人の夜を乗り切れば、父が帰ってくる。
その後、ラインをチェックしたけど、一吾くん宛のメッセージにはまだ既読がついていない。
一吾くん、早く帰ってこないかな……。
1人で夜を過ごすのはやっぱり心細いし、
彼が今何をしているのか、ちゃんとご飯を食べているのか、そしてちゃんと生きているのか、心配でたまらない。
実家にいるなら安心だけど、それすらも明確ではない。