ぼくらのストロベリーフィールズ
ゲホッ、ゲッ――。
こらえきれず、僕は道端で胃の中のものを戻していた。
電柱に手をかけ、崩れそうな体を支える。
確かに最中は気持ちが良かった。
しかし終えた後、ねばりつくような嫌悪感に、心と体が襲われた。
ベッドがきしむ音、彼女の甲高い声。
そして、それに応じる自分の体――。
忘れようとしていた昔の記憶がよみがえった。
母の悲鳴のような声と、激しくなるベッドの音。
――お母さん!! お母さん!!
母が危険な目にあっていると思い、
助けようと、チェーンで開かないドアを何度も引いた僕。
僕の頭を撫でたロングコートの男、無言で頬を殴った下着姿の母、
そして、
母とその男があの時何をしていたのか、年を経て分かった時の気持ち悪さ。
僕も結局は、あのロングコートの男をはじめ、今まで母を抱いた男たちと同類なのだろうか。
もちろん、今一緒に住んでいる母の彼氏とも。
足元では、さっき食べたアイスの白色が雨によってアスファルトに広がっていた。
うっ――。
もう一度、朝に食べた意識の高いメニューまでも戻しそうになった。