ぼくらのストロベリーフィールズ

7-2








「実は~もともとウザいって思ってたんだよね~」


「わかるー。ナズちゃんの気持ち知ってて、ずっとバカにしてたんじゃない?」


「中学の時からすげー男好きでハブられてたらしいよー」



個室の扉越しに聞こえてきたのは、そんな会話。


ナズちゃんといつもの友達2人の声だ。



授業がもうすぐ始まるからか、このトイレに私たち以外の人はいない。



もともとウザかった、って……何それ。


放課後一緒に遊んだり、しゃべったりしている時にも、そう思われてたの?



個室から出ることができず、ぎゅっとスカートを握る。



しかも、

「前の合コンの時にこっそり男子たちの悪口言ってたよ。みんな高校デビューくさいって~」

というナズちゃんのわざとらしい声がした。



そのせいで、


「うっそー、まじ腹立つ! うちの彼氏のことディスってたってこと?」

「ありえない! 調子乗りすぎ。何様なんあいつ!?」


と友達2人の怒りに満ちた声が響いた。



違う、いや、違くない……。



確かに、あの男子たちを高校デビューくさいって言ったのは事実だ。


何であんなこと言っちゃったんだろう。



「……ひっ!?」



授業開始のチャイムが鳴ると同時に上から水が降ってきた。


それからボコン、と落ちてきたバケツが頭にぶつかった。



笑いをこらえたような声が遠ざかり、扉がバタンと閉まる音が聞こえた。



ずぶぬれになった髪の毛と制服を両手でしぼり、ぼけーっとトイレの天井を見上げる。



これじゃ授業出れないよ。どうしたらいいんだろう……。



とうとう嫌がらせが本格化してきた。



落書きされた教科書、隠されたジャージ、


だけど教室ではいつも通りの態度。



ナズちゃんグループはクラスで一番目立っている。



私のクラスでの居場所がどんどん失われていく。



< 203 / 315 >

この作品をシェア

pagetop