ぼくらのストロベリーフィールズ




あれ? 下駄箱も机の中も何もされていない。



明らかに友達2人はナズちゃんに近づかないようにしている。


もちろん私とも視線を一切合わせなかった。



1人不機嫌な顔をしているナズちゃんに話しかけるクラスメイトはいなかった。



教室移動の時も、友達2人はささっと廊下に消えてしまう。



私も教科書片手に教室を出ようとすると、キッと恐ろしい目でナズちゃんににらまれた。



――怖っ!



彼女が何かに感づいたと思い、びびっと全身に恐怖が走った。



お昼ご飯は、1人で中庭で食べた。



話し相手がいなくて寂しいけど、久しぶりに平和な時間を送っている気がした。



授業ぎりぎりに教室へ戻ろうと思い、遠回りのルートを進む。



すると――



「ねーどういうこと~? 男紹介してあげたのに~。ひどーい」



「だって……いじめやってること、うちの彼氏にバラすって言われて。証拠もあるって……」


「よく考えたら、うちらやってることってかなりヤバくない?」



え……?



人気のない理科室前トイレから聞こえてきたのは、ナズちゃんと友達2人の声だった。



「はぁ!? 今さら何言ってんの? ってかナズは何もしてないし~。あんたらが勝手にやってんでしょぉ~?」



「違うよ。もともとナズちゃんがのばらちゃんをムカつくって言い続けてたんじゃん」


「一吾くん好きなら、普通に仲良くなって告ればいいのに」



その会話の並々ならぬ緊張感に鼓動が早くなった。



ナズちゃんの自分は悪くない発言に胃の中がムカムカしてくる。


そうか。


やっぱりこの子は自分のためなら簡単に友達を切り捨てるんだ。



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