ぼくらのストロベリーフィールズ
8-2
☆
状況が変わったのは突然のことだった。
部活に行く人や帰る人でざわついた放課後の教室で、ナズちゃんは1人ぽつんとしていた。
いつもの友達2人がいない。
ナズちゃんに絡まれる前にさっさとバイトに行こう。
そう思い席を立とうとした時、友達2人が教室に戻ってきた。
「今日どーするー?」
鏡を見ながらナズちゃんはその2人に話しかけた。
「ごめん。今日はちょっと……」
「なーに? どうしたの~?」
「なんも、なんもないよ~。今日は親に早く帰れって言われてて。ごめんね!」
「うちも……ちょっと今日は……具合悪くて……」
珍しく2人がナズちゃんの誘いを断っている。
気まずそうな顔のまま、2人は帰っていった。
――あ!
確か友達の彼氏は、尚紀くんの元パシリだったとか何とか……。
もしかして、誰かがその材料を使って友達2人をおどしたのだろうか。
バイト中に一吾くんにそれとなく聞いてみたけど、
彼はトマトをスライスしながら「内緒」と言っただけだった。
でも、一瞬だけニヤリと笑った気がした。
私は少し背筋がぞーっとしてしまった。