ぼくらのストロベリーフィールズ

8-2








状況が変わったのは突然のことだった。



部活に行く人や帰る人でざわついた放課後の教室で、ナズちゃんは1人ぽつんとしていた。


いつもの友達2人がいない。



ナズちゃんに絡まれる前にさっさとバイトに行こう。


そう思い席を立とうとした時、友達2人が教室に戻ってきた。



「今日どーするー?」



鏡を見ながらナズちゃんはその2人に話しかけた。



「ごめん。今日はちょっと……」


「なーに? どうしたの~?」


「なんも、なんもないよ~。今日は親に早く帰れって言われてて。ごめんね!」


「うちも……ちょっと今日は……具合悪くて……」



珍しく2人がナズちゃんの誘いを断っている。


気まずそうな顔のまま、2人は帰っていった。



――あ!



確か友達の彼氏は、尚紀くんの元パシリだったとか何とか……。



もしかして、誰かがその材料を使って友達2人をおどしたのだろうか。



バイト中に一吾くんにそれとなく聞いてみたけど、


彼はトマトをスライスしながら「内緒」と言っただけだった。



でも、一瞬だけニヤリと笑った気がした。



私は少し背筋がぞーっとしてしまった。




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