ぼくらのストロベリーフィールズ



ゆーたさんとリーさん。



中学の頃はいかにもな不良だったけど、今は2人ともそれぞれ熱中しているものがある。


初めて会った時よりも、表情が生き生きとしていた。



彼らが僕を見つけてくれて、可愛がってくれたことで、僕は救われたと思う。


達也さんやユメナさんとも出会うことができた。



この町には窃盗やクスリをしていたグループもあったし、一歩間違えば僕もずるずると堕落してしまっていただろう。



そして――



『一吾……』


『何、そんな寂しそうな顔しないでよ』



准クンは志望校に合格し、4月から往復2時間以上かけて電車通学することになった。



『俺……一吾に会えて本当に良かったよ。お前すげーかっこいーもん』


『あはは、なにそれ。おれだって准クンに支えられてたよ』



准クンと熱い抱擁をすると、リーさんがひゅーひゅーと冷やかしてきた。



ムカつく人や嫌なことはたくさんあった。



だけど、みんなと過ごした日々はとても楽しかった。



『達也さんも遠くに行っちゃったしチームは解散だべ。これからは普通のマブダチってことで!』



ゆーたさんが大声でそう言った。


春を迎える風が僕たちに吹き付け、その声は空に舞い上がった。




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