ぼくらのストロベリーフィールズ
9
★
『寂しいなー。一吾ちゃんもいなくなっちゃうんだ……』
『あー、もっと遊んどけばよかったわー。わりーな』
リーさんとゆーたさんは寂しそうな顔で僕を見た。
『別に実家はこっちですし、たまには戻ってきますよ』
僕は高校に合格し、必要最低限の荷物だけをあの部屋に送った。
4月になったらすぐにバイトを始めて、生活費を確保しなければならない。
2人は時期的に引っ越しバイトがいいよと教えてくれた。
『じゃあ、はい。オレらからプレゼント』
差し出された紙袋を僕は受け取った。
中身は……
『俺ら集まる時いっつもパーカーじゃん。でもこれからはもっとオシャレしなきゃ。デートの時とかー?』
リーさんからは私服セット。
僕に似合いそうなものをチョイスした、とのこと。
リーさんは、読モで出た雑誌やインスタによって有名になっていた。
『デートって……。バイトでそれどころじゃないっすよ。でも、ありがとうございます』
ゆーたさんからのプレゼントはオススメのCDと、ブリーチ剤。
『ほら、昔の俺みたいに金にしといた方がなめられないし、気合も入るべ?』
ゆーたさんは金から茶へ髪色を変えていた。
バンド仲間といる時に、昔敵対していたグループとケンカをしてしまい、
そのけじめとして、暗く染め直したとのこと。
『あはは、金髪にしたらすぐ目つけられちゃいますって』
『一吾ちゃんなら大丈夫だべや。ぎゃははは!』
CDは昔のから最新のまで、ロック系のものが数枚入っていた。