ぼくらのストロベリーフィールズ
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『寂しいなー。一吾ちゃんもいなくなっちゃうんだ……』


『あー、もっと遊んどけばよかったわー。わりーな』



リーさんとゆーたさんは寂しそうな顔で僕を見た。



『別に実家はこっちですし、たまには戻ってきますよ』



僕は高校に合格し、必要最低限の荷物だけをあの部屋に送った。



4月になったらすぐにバイトを始めて、生活費を確保しなければならない。


2人は時期的に引っ越しバイトがいいよと教えてくれた。



『じゃあ、はい。オレらからプレゼント』



差し出された紙袋を僕は受け取った。


中身は……



『俺ら集まる時いっつもパーカーじゃん。でもこれからはもっとオシャレしなきゃ。デートの時とかー?』



リーさんからは私服セット。


僕に似合いそうなものをチョイスした、とのこと。


リーさんは、読モで出た雑誌やインスタによって有名になっていた。



『デートって……。バイトでそれどころじゃないっすよ。でも、ありがとうございます』



ゆーたさんからのプレゼントはオススメのCDと、ブリーチ剤。



『ほら、昔の俺みたいに金にしといた方がなめられないし、気合も入るべ?』



ゆーたさんは金から茶へ髪色を変えていた。



バンド仲間といる時に、昔敵対していたグループとケンカをしてしまい、


そのけじめとして、暗く染め直したとのこと。



『あはは、金髪にしたらすぐ目つけられちゃいますって』


『一吾ちゃんなら大丈夫だべや。ぎゃははは!』



CDは昔のから最新のまで、ロック系のものが数枚入っていた。


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