ぼくらのストロベリーフィールズ

9-2








「あの、本当にいろいろとありがとう。もう大丈夫みたい」



A組前の廊下にて。



一吾くんたちに改めてお礼を伝えると、


「良かったな~」とか「またカレー食わせろよー」と声をかけてくれた。



教室にあのチャラ男がいて、一瞬だけ目があったけど。


みんながギロリとにらんだおかげで、慌ててそいつは視線をそらした。



尚紀くんは私をじーっと見つめていた。



「えーと。何でしょう?」


「や、のばらちゃんのあのキック、すごかったなぁって」


「ちょ、もういいでしょ! その話は」



そういえば尚紀くんも、かなり強かったな。


さすがは元不良……。



「おれ、のばら才能あると思うけど。道場とか通ってみたら?」


「もう! 一吾くんもしつこい!」



あの日――私がナズちゃんに勝った日以来、


ナズちゃんも友達2人も私に一切かかわらなくなった。



次に何かをされたら、いじめの証拠を先生に流す覚悟だった。


そうしなくても良かったことに、ちょっとだけホッとした。


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