ぼくらのストロベリーフィールズ
9-2
☆
「あの、本当にいろいろとありがとう。もう大丈夫みたい」
A組前の廊下にて。
一吾くんたちに改めてお礼を伝えると、
「良かったな~」とか「またカレー食わせろよー」と声をかけてくれた。
教室にあのチャラ男がいて、一瞬だけ目があったけど。
みんながギロリとにらんだおかげで、慌ててそいつは視線をそらした。
尚紀くんは私をじーっと見つめていた。
「えーと。何でしょう?」
「や、のばらちゃんのあのキック、すごかったなぁって」
「ちょ、もういいでしょ! その話は」
そういえば尚紀くんも、かなり強かったな。
さすがは元不良……。
「おれ、のばら才能あると思うけど。道場とか通ってみたら?」
「もう! 一吾くんもしつこい!」
あの日――私がナズちゃんに勝った日以来、
ナズちゃんも友達2人も私に一切かかわらなくなった。
次に何かをされたら、いじめの証拠を先生に流す覚悟だった。
そうしなくても良かったことに、ちょっとだけホッとした。