ぼくらのストロベリーフィールズ
『一吾くん、大丈夫? ケガない?』
『……うん』
『そっか、良かった。じゃ一緒に帰ろう』
彼女は僕の冷たい手のひらを優しく握ってくれた。
夕日のオレンジ色が、からめられた指と指を優しく照らしていた。
『一吾くんももっと強くならなきゃ。あんな男子なんかワンパンで十分っしょ』
『……僕にはそんな力ないよ』
僕と彼女の家の距離はだいたい5分。
一軒家やアパートが並ぶ、住宅街を進んでいく。
まわりの家たちから聞こえるのは、
子どもたちがはしゃぐ声や、お母さんらしき女性が怒る声。
漂っている空気は、
焼き魚やカレーがミックスされたような香り。
『じゃあまた明日ね。ばいばい』
その手を離すとき、いつも僕は
胸が張り裂けそうな気持ちになった。